縦のセンターライン(体軸=呼吸軸=背骨)の仕組みを理解しましょう。
左図は身体を大まかに4つのエリアに分けた図です。外周が身体を表していて、左上のエリアが左胸部、右上のエリアが右胸部、左下が左腹部、そして右下が右腹部となります。
このエリアの境界にある赤い線を「呼吸軸」と呼びます
。ここでは、その呼吸軸を使いこなすことに触れていきます。
呼吸軸のヒント❶
呼吸軸は、身体の力を抜いた状態(脱力状態)で理想的な細密ストロー(空洞の軸)が作られます。
【詳しい説明】
身体の筋肉のようなエリアを実数エリアと考えます。これを4分割した結果、その境界である呼吸軸は、息(i)が縦向きに1つ通れるサイズの極細ストローが理想となります。またここから先、息(i)の流れる方向は、「i」のスペルの点(・)の部分が動きの先頭になるように設定させて頂きます。
呼吸軸のヒント❷ 虚数(i)のスペルの点(・)と棒(I)が、離れる(伸びる)時は息(i)が吐かれ、縮まる時は息(i)が吸われます。
【詳しい説明】
虚数(i)のスペルを活用して、発声呼吸に慣れておくと、息(i)の流れがイメージし易く、エコな発声に結びつきます。(i)のスペルの隙間が伸びれば呼気となり、隙間が縮まれば吸気となります。参考図の底辺が、腹式呼吸の出入口ですから、この部分で発声の息づかいを試してみると効果的だと思いますよ。
呼吸軸のヒント❸ 呼吸軸を、X軸とY軸に限定して捕らえて、声帯部断面を理解すると、発声の仕組みがとても分かりやすくなります。
【詳しい説明】
声帯の形状は、生まれついた時から、Y軸が「1」、X軸が「0」です。この形状のお陰で、誤嚥が起こりにくくなっています。参考図のX-Yの交差点(原点)を、声帯の中心軸(呼吸軸)が垂直に貫いている訳ですね。
息(i)を吐く時、X軸上では、0から1に向かって膨らみ、Y軸上では、1から外に向かって膨らみます。これを声帯部で直接やってしまうと、敏感な声帯部に負荷がかかりすぎるため、実際には腹式呼吸の最下部(声帯の鏡映関係)で行います。
呼吸軸のヒント❹ 呼吸軸を、Y-Z軸で捕らえると声帯部に近似した断面が現れます。
【詳しい説明】
Y=Zで形成された膜は、声帯膜そのものです。息(i)を吸えばこの膜は、強く張られた状態になります。歌唱で必要なキーの調整に使われます。この面を沿直に貫いているX軸は主として、吐く息に使用されます。吐く息と吸う息の役割り分担により、力まない、楽な発声につながりますよ。