イチョウ葉チップ(その7) 筋肉質発声・空気質発声の違い
発声方法は2種類あると言われますが、それを考えていきます。
発声には声帯が必要です。
声帯は2枚の肉片からなっています。それをイチョウ葉チップ2枚に置き換えて考えます。
まずこの2枚の葉の薄いスキマに息がすり抜ける時に、2枚の葉が振動して発声するというとらえ方が1つ考えられます。
この考え方は、筋肉主体の組み立てですから、「筋肉質発声」と言います。
ここで考え方を変えてみます。
声帯の2枚の肉片ではなく、2枚の肉片の薄いスキマがイチョウ葉チップ1枚であるというように考えてみます。
そうすると、1枚の息で出来たイチョウ葉チップが、呼吸調整だけで生き物のように自力で泳ぎ抜けていく様子がイメージできます。
即ち、息に依存した発声ですから、「空気質発声」と言います。
発声の豊かさは空気感の多い方が圧倒的に有利ですので、息だけに軸足を置いた発声をお勧めいたします。
背骨の胸側から背側に移動する吐く息は、実際には背骨の頂上にある声帯のスキマから擦りぬける時に、振動音に変わります。イラストの炎が発声振動と考えて下さい。炎の消えているイラストは声を出していない時です。
そして、この炎の部分を直接ローソク部分でゆらしてしまうと、力みそのものの筋肉質な声になってしまいます。又、肺からの息を直接炎に当ててしまいますと、ゆらゆらとゆらめく炎の調整は困難です。
この弊害を避けるため、背骨(ローソク)の声帯(ローソクの芯)の反対の下側にある、尾骶骨のスキマを骨振動で代用する事で発声が可能となります。イラストのろうそく下部で腹式呼吸をする事で、炎に間接的に息を供給する事になり、柔らく揺らぐ炎を再現できる事になります。
硬い骨は柔らかい筋肉よりも、すり抜ける息に忠実に振動しますから、空気質発声を作り易くなります。
つまり尾骶骨は声帯の代用となるとても重要な急所です。
尾骶骨を呼吸器官として使いこなしましょう。即ち腹式呼吸を行う理由の1つとなります。