イチョウ葉チップ(その9) まとめ
これ迄に練習してきたボイトレイメージを足場にして、「まとめ」に進みたいと思います。
発声は、左右2枚の声帯筋に挟まれた薄いスキマに、息がすり抜けて出て行く時の、摩擦振動でした。
それでは復習をかねて、左右2枚の声帯筋を左右の手に置き換えてみる事から始めましょう。この時、左右の手は、左右の肺と同じ動作をします。息を吸い込むと左右の肺が膨張すると同時に、左右の手も膨張し、左右の手のスキマは密閉されます。
この時点で、自分の思考回路を、手の筋肉から離れて、スキマの息に切り替えましょう。このスキマの薄膜をイチョウ葉チップに置き換えると、分かり易いイメージになりませんか?
このイチョウ葉チップが息の出し入れで動き出すと、声が生まれます。全ての人にこの機能が備わっているので、声を出す行為は容易です。ボイトレはこの発声の仕組みに付加価値を付けていく事で、豊かな声・響きある声・自然にゆらぐ声・楽に出せる声・安定した声を身に着ける事が可能となります。
発声の上達は、声帯1点に頼る事なく、徐々に横隔膜・腹部・背骨・肩甲骨・骨盤・頭蓋骨etc全身に広げて行く操作です。最終的には、全身操作で対応できる発声をめざしましょう。
以上の事を、理系流で言いかえると、3次元→2次元→1次元の世界へ自由に出入り出来る柔軟な思考を試してみる事をお勧めします。
2次元・1次元へ入る絶対条件は究極の脱力操作です。
さらに易しく言いかえると、球体(3次元)→円面積(2次元)→円弧(1次元)→半径(1次元)→0点(1次元)へ自由に息を誘導できる操作です。
自然界では球や円や点は、安定化の終着駅です。我々の住む太陽系にも惑星直列と呼ばれる次元変化が起こります。
我が体内にも、自然体を極めて自然を楽しんでみませんか。