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ボイトレの実例第8話

ボイトレの実例第8話

 

 今日のBincoの朝ご飯は、俺が夜勤明けにコンビニで買ってきた、ふわとろオムライスだったんだけど、いつもより遅めの朝食だったせいか、がっついて硬めのライスをほおばった。そしたら案の定、食道の狭い箇所でご飯を詰まらして、小さいしゃっくりを連発した。たまたま今回はすぐ詰まりが取れて事なきを得たけど一瞬緊張の走る場面だった。

 実は以前Bincoは、丸一日食道がつまったままカラオケを歌ったことがある。息が出来ているので歌唱するのに障害は感じられなかった。

 5曲目の途中、急にソファーへ仰向けにもたれこんで白目をむき始めた。

 

 その時の対応は慌てていたので詳細はよく思い出せないが、救急を呼ぶ前に夢中で背中やお腹を刺激したら。食道に溜っていたもの(なんと紙コップ半分くらいの量!)が吐き出されて、なんとか正常な気分に戻った。その後オレンジジュースを飲んだら多分低血糖症状が改善し、5分後には正常のBincoにもどっていた。

 念のため1曲歌わせてみると、91点の高得点を出したので、ほっと一息ついたことが頭によぎった。

 

 この時のしゃっくりは、生体防衛反応として横隔膜の痙攣で、声門が急に閉じる事で起こる誰でも経験する現象だから心配はいらない。そのちょっとした出来事は、今日のカラオケのテーマ「しゃくり」(「しゃっくり」ではない)につながるタイミングの良さだった。

 

 さて、カラオケ店(まねきねこ)での今日のテーマは、しゃくり。

 しゃくりは主に音程をなめらかに高い方へ移動する発声なので、当然息の吸い込みを使う事になる。従ってリキミが入り易くなる。力まない、なめらかな自然発声が基本中の基本。脱力発声が出来ていれば、しゃくりは自然について来るので過剰な意識は必要ない。

 腹式呼吸の完成度を高める意識の方が、近道かな?。

 ところで、「しゃくり」と「しゃっくり」は同じ発声現象だけど、滑らかさの点で、大違いだから混同してはいけない。

 

B「私の場合、しゃっくりしても食道の詰まりが取れない時はかなり落ち込むわ。Noriが言うには、指をのどちんこに突っ込んでゲロをすれば、つっかえたものは、簡単に取り出せるらしいけど、そんな気持ち悪いことは絶対できないわ。だから一人の時、食道を詰まらせたときは、不安に駆られる。しゃくり練習するほうが、よっぽど楽しいわね。

 

さあ今日の課題曲は

香西かおり 酒のやど

   ~~~Binco歌唱中~~~ 

 

(Bincoの採点参考値88点 しゃくり17点 ビブラート68点)

 

N「Bincoの声は元々滑らかさには何も言うことない。だからしゃくりも自然に出ている。このしゃくりを更に意識すると、表現力に磨きがかかるから、表現力ポイントアップにつながるのは間違いない。」

 

B「えっ⤴?今なんて言った⤴?」

 

N「おお、その疑問形イントネーションは見事なしゃくりだね。低い音から高い音へ滑らかに波打った声が、俺の耳たぶをBincoの方へ向けさせたぞ。」

 

B「私時々、表現力ポイントが極端に落ちる事あるけど、とりあえずしゃくってみるわ。」

 

N「Bincoの場合、滑らかさは素晴らしいけど、メリハリに欠けるところが、ままあるかな?

なんとなく声を上下させる「うねりっぽさ」を意識するといいかもね。台風の卵が生まれると、日本近海にうねりが押し寄せてくる気象現象をイメージするといい。」

 

B「滑らかさって言うのはそう言う感じなのね。

ゆったりしてるけど、常時上下変動が途切れないイメージなのね。」

 

N「しゃくりは、スキーに例えると、整地されたゲレンデではなく、自然降雪による凹凸斜面の滑らかな波状滑走に似ている。整備されたゲレンデでは味わえない醍醐味が楽しめる。足腰の柔らかさと腹式操作が欠かせない点で、スキー操作と発声操作は親戚関係と言えるよね。」

 

B「私その雰囲気チンプンカンプンだけど、分からなくもないわ。直線上って変化なくて飽きちゃいそうだものね。波の上で遊ぶ方が表現力が上がるのも納得だわ。要するに、無駄を楽しむ遊び感覚に慣れるかどうかね。」

 

N「しゃくりは遊び道具。Bincoの脳みその隙間に挟んでおくと、カラオケはもっとおもしろくなるぞ。

スキートレーニングでは「けつぴー」というテクニックを度々口にする。簡単に説明すると、肛門にピーナッツを挟んで下半身を占め込む練習なので、ブレ対策や脱力呼吸一体化対策に有効となる定番の練習法となっている。スキーでさえ呼吸を活用しようと努力しているんだから、ボイトレならなおさらだよね。採点アップの近道かもね。」

 

B「肛門の奥の方を閉め込む感じね。脱力しながら締め込む事なんてできるの?」

 

N「筋肉力でやるのなら誰でも簡単に出来るよね。肛門呼吸でピーナッツを挟み込む感覚に慣れてくると、ピーナッツが肛門にぴたっと吸い付いて栓をされた状態になる。この時の脱力感や窮屈感を忘れないでね。Bincoの歌唱力は、整備された平面スキーのレベルを超えているから、その先のアドベンチャースキーのレベルに挑戦して欲しいね。」

 

B「今までそんな事、考えた事もないわ。息を味方にするとかなりな事が出来そうな気がしてきたわ。アドベンチャーボイス面白そうね。」