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ボイトレの実例第11話

ボイトレの実例第11話

 

そろそろBincoが思い通りにならないハイトーンの攻略にかかってみるけど、心の準備はOK?

どんな分野でも高みに足を踏み入れるのは困難を伴うから多少の覚悟は必要だよね。」

 

 Noriは登山が趣味の1つだったから、はるか高い山頂はワクワクする憧れのゴールだ。

 頂上の征服感は何とも言い難い爽快感が沸騰するのだ。

 最も記憶に浮かび上がるのは、北アルプス白馬岳頂上近辺のテント泊まりだ。3人パーティーの手分けで、日が沈む前にテントの設営をすませ、ぶら下げたランタンの下で昼間の疲労を癒しつつ、ウイスキーを少し垂らした熱いコーヒーで乾杯!煮込みのおでんは、この上ない御馳走だ。

 一段落して3人は、真っ暗になった外へ出たとたん、凍り付いたように無口になり天を仰いだ。

 

 日常生活をコッパミジンにする一時だった。

 

 視界から溢れるばかりに、満天ぎっしりの「★・☆彡・☆」・天の川・カシオペア・北斗七星…

 

 無数の星の中でも特に目を引くのが、絶え間なく降り注ぐ流れ星。

 思わず手を伸ばして受け止めようとする「芳賀」、「荷宮」の相棒達もちょっと興奮気味だ。

 

 無音の流れ星たちが、すーぅっと消えて行く瞬間は、あまりにもはかなすぎる。

 無音の中にもかかわらず、魂は最大級のハイトーン。自然の中に溶け込むたぐい稀な体験は、自然感をさらに楽しい高みへ連れて行ってくれるきっかけとなった。

 

 ハイトーンという語感の中には、そんな記憶がリンクしてくる。今回のカラオケテーマは、そんな思い入れのある楽しいテーマである。

 

今日の課題曲は

中島みゆき 糸

~~~Binco歌唱中~~~

Bincoの採点参考値 91点 

 

B「難しい曲だけど何とかついて行けたわ。高めのあたりはちょっと苦しいわね。

もう少し楽に歌えないといけないんでしょ。」

 

N「Bincoに限らず殆どの人がハイトーンを苦手にしている。これまでの呼吸法では限界であることを知って、別の角度から攻めてみようね。

1つのヒントとして、ヘリウムガス遊びを紹介しよう。

空気の代わりにヘリウムガスを肺に充満させると、誰でも例外なく甲高いヘリウムボイスになりパーティーを盛り上げたりする。

ヘリウムは空気より密度が低いため息のスピードが3倍になり声は上ずってしまう。即ち、息のスピードが速い程キーは高い方へ移動する。ボイトレでは、吐く息のスピードを上げて対応する」

 

B「と言う事は、思い切り息を吐けばいいって事?」

 

N「その通り。但し、吐くだけでは効果は出ない。吐く息のスキマを閉じてやる必要がある。

スキマを閉じてやることで、出る息のスピードはアップするよね。その時は、当然腹圧は増し窮屈感がでるよね。この時息の吐く方向は、骨盤と頭蓋骨に向けてやると、吐く息のスピードアップに繋がると思うよ」

 

B「思いっきり吐けば、その反動で思いっきり吸えるって事ね。とにかく吐く息を強めてやれば、息の圧力で身長が伸びる気がするわね。」

 

N「だいぶ分かってきたね。ハイトーン時の息の出し入れは、思いっきりが欠かせない。

吸う息は、アクビの本能動作を活用して深い呼吸に取り組んでみてね。アクビはのども開いてくれるから一石二鳥だよね」

 

B「そういえば私今まで、吐く息で何とかしようとしていたわ。ハイトーンは吸う息の調整も重要なのね。」

 

N「当然練習が必要だね。少し違ったイメージとしては、左右合体の一体呼吸ではなく、左右バラバラの呼吸、

言い換えれば左肺と右肺のデュエット呼吸を練習して欲しいね。」

 

B「えっ、そんな事考えた事ないけど、かなり難しそうね。その上、左右とも腹式呼吸なのよね。

歩く時の様に、交互じゃダメなんでしょ?」

 

N「交互操作は練習の過程ではOKだけど、本番では、縄跳び・蛙飛びのように左右同時操作が必要。息のキャパが断然有利になるからね。

この辺りまで来ると、ハイトーンのきっかけがつかめて来たのでは?」