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ボイトレの実例第12話

ボイトレの実例第12

 

 「ボイトレの実例シリーズ」は、この回でまとめに入りたいと思います。

 11話までの内容に目を通した方々を前提に、話しを進行して行きたいと思います。

 

 ところで、私共のロゴマーク「安定ボイス」のドメイン表記anteiboisuは、母音(aeiou-あえいおう)の順で並んでいます。のどの開きの大きさ順に並んでいるので、発声の基本として、声を出して確認してみて下さいね。

 

 又、ロゴマークの左右にある2つの円は、2つの肺をイメージしています。この回のまとめの内容の中で重要な意味を持って来ます。終盤でなるほど感に繋がることを期待しております。

 

 さていよいよ今回は、これまでの実例に理系味を振り掛けながら総まとめしてみます。

 呼吸の基本は、ゴム風船(球体)に始まりゴム風船(球体)で終わります。

 2つの肺の背中側センターに、硬い背骨が縦に貫き、膨張する2つの肺の動作をブロックしています。逆に胸側は、邪魔者が無いため柔軟に膨張し易くなっています。

 この構造により

 吸った息は胸側に貯まり、背中側は背骨を締め付けるように収縮します。当然、息を吐けば胸側が収縮し、背骨側の締め付けは緩みます。即ち、吐く息は胸側から背中側に移動します。

 吐く息は背骨の前から後ろへ抜ける時に、声が生まれます。声帯を背骨の一部と見なすと、背骨は、どの位置でも声帯の機能を持つ事になります。

 以上は発声の基本呼吸ですから呼吸を意識するたびに、身体で慣れてしまいましょうね。

 次の段階では、この基本呼吸を、横隔膜の下側へ平行移動させて腹部全体を大きな声帯と見なします。ここでも、背骨の前後で息の移動は同様です。声帯は腹部全てですから、腹部全体を使って発声を試してみましょう。腹部背骨が、呼吸の通り道となります。

 この腹部で起きる振動は自動的に、のどの振動に伝わります。この腹式呼吸に慣れるため、ここからはBincoさんとのやり取りで、分かり易く呼吸の仕組みに迫ってみたいと思います。

 

B「前後の呼吸移動、胸を閉じたり開いたりする感じよね。上下の呼吸移動はどの辺りでやってるのかしら?」

 

N「いい質問してくるね。

 そもそも胸部空洞は、呼吸によるポンプ装置だからポンプ外との連絡通路は、縦に貫いている背骨が代用している。従って、息を吐く時、胸部に貯まっている息は、上方(頭部)と下方(腹部)へ放出する。発声は腹式操作が主体なので、腹部へ放出する息だけにこだわればいい事になるよね」

 

B「そうすると、呼吸移動は、上下と前後の二通りを同時にやっているのね。

 ややこしいわね。でも歌っている間に自然に出来てるかも知れないわね。気にしたこと無いわ。」

 

N「おっとっとっと。だめだめだめ。

 この前後・左右の十字回路は避けて通れない重要な急所だから、ここでしっかり理解しておこうね。この同時操作が出来ないと、ハイトーンは永久に出せないぞ。背骨の重要性軽く見ないでね」

 

B「ふうーん。そのせいだったのね。

 呼吸の調整がまだまだ出来ていないって事ね。背骨の中に息が入り込めるの?」

 

N「実際には骨の中に息は入らないけど、骨の髄を息が通過すると考えても差し障りはない。

理系的に検証済みだから安心していいよ。こうする事で息の細さを更に細くできるので、シャープな発声に繋がるから試してみてね」

 

B「ハイトーン出す時は、身長が伸びるように発声しろと言われた事があるけど、この事だったのね。しばらく練習に励むわね」

 

N「上下軸の練習は、まず骨盤への息の吐き出しから始めるといいかもね。Bincoは少し吐き出しが弱めだから思いっきり遠くの骨盤迄、出来るだけ速く届くように息を吐くと良い。

強く吐けば、反動で強く吸えるから、上下軸呼吸が一挙に完成するかもよ」

 

B「私パワー不足を感じているのは、多分この辺りって気がするわ。背骨の中で動いているエレベーターを息のパワーで上下させるって感じでいいのかしら?」

 

N「おっ!エレベーター好きのBincoの発想、いいんじゃないの。

 ここで吐く息・吸う息のパワーつけてしまえば、鬼に金棒。90点越えは間違いない。そのバロメーターとして、腹筋・背筋の窮屈感に注目しておくといいよ」

 

最後に、練習中の注意点を参考にしてみてね。

    気合を入れない

    声を前に出そうとしない

    大きな声を出そうとしない

    良い声を出そうとしない

    下あごを下げない

    2つの肺をモノラルからステレオ化へ

このような些細な事に意識をむけながら、究極のボイトレ頂上に3本の旗をたててみようね。

 🏳 1本目の旗~究極の脱力(筋力0の自然体)

 🏳 2本目の旗~究極の柔軟さ(筋弾性の自然体)

 🏳 3本目の旗~究極の呼吸(最大呼吸の自然体)

自然界では球体が究極の安定構造ですが、身体内では呼吸球体に戻ろうとするのを、様々な細胞群がいじめ放題に邪魔をして球体化を妨げます。息で丸くなる人間になる人生を楽しんで見てはいかがですか。