ボイトレ山8合目キャンプ 第一話
Binco(88歳)は、人生山の8合目後半である。
偶然にもカラオケ得点も年齢前後をうろついているのだが、ここに来て、少しボイトレ山の登山道を迷いそうな気配である。
ボイトレ山はここからが、胸突き8丁の難所に差し掛かる。山の天気も荒れ模様なので、この辺りで、キャンプを張って、体調を整え、再出発に備えよう。ちょっとテント内での、やりとりを聞いてみよう。
N「高い山に挑戦する時は、遭難防止のための装備は欠かせないよね。ピッケル・ザイル・カラビナ・ヘルメット・・・等がその類だ。という事で、ボイトレ山には、コンパス・ジャイロスコープ・安定ボイスのロゴマーク・・・等がとても役に立つからね。」
B「あちこち探してみるけど、そんな物でいいんだったら軽くて助かるわね。重い物だったらテントの中に置いて行くからね。」
N「これから登るボイトレ山は、その補助具のお陰で、遭難することなく順調に高さを稼げるぞ。ボイトレ山に魅惑されてぼうっとしてんじゃないぞ」
B「ボイトレ山を登る時は、筋力を使っちゃダメなんでしょ。息だけで登る8合目登山って息切れして酸欠になりそうね。
そう言えばハイトーンを出す時は、息切れしそうだったわね。」
N「当然、頂上付近は気圧が低くて息の操作は難しくなるよ。ふもとでやっていた腹式動作をしっかり此処でも行う事忘れるなよ。下界(1気圧)で買ってきたアンパンの密閉袋は、8合目近辺ではパンパンに膨らむよね。この袋に針穴があると当然膨らまない。即ちボイトレ呼吸系では密閉が最低条件となる。
気圧差と密閉性を同時に操作する事から8合目登頂が始まるよ。ついでに言っとくけどアンパンはロゴマークと同じ2ヶ用意してね。」
B「なんかワクワクして来たわ。私、高い所は苦手だけど、景色はまんざらでもないわね。下界の方を眺めると、充実感と爽快感がじゃれあうわ」
N「巧いこと言うね。俺が北岳登山で感じた爽やかな香りの頂上シーンと交錯するね。
最近ボイトレ山に入れ込んでいるBincoは、地球の山には無関心だったよな。俺の過酷なアルプス体験は、時折コーヒートークで、Bincoの脳みそに刷り込んで置いたけど、黙って拝借してもいいんだぞ。お巡りさんにはチクらないからな」
B「お巡りさんには時々お世話になってるのよ。財布無くしたり、道迷ったりでパトカーで送って貰った事も有ったわね。
どんな山でも、行動力しだいね。私幸い身体ピンピンしてるから、ここんとこ、やる気満々だわ。早いとこ頂上に旗立てたいわね」
N「あせるんじゃねぇ~。頂上付近は、落石・踏み外し・突風・低体温・・・等じわーっと近づいて来るから、一瞬の油断で閻魔様に厄介かける事になるぞ」
B「私の体力で頂上迄行けるかしらね。記憶秒針も最近動かない事あるのよね。シェルパがいないとコンパスの見方もチンプンカンプンだわ」
N「人生たそがれ時のBincoだけど、今ではボイトレ山のたそがれを上から眺めているんだぞ。
ボイトレ登山は脱力操作だから体力はノープロブレム。たそがれシーンを思いっきり楽しめよ」
B「今いる8合目も、お山君のたそがれポイントなのね。
茜色のコートを羽織ったボイトレ君が雲海になが~い影を残して「お先に~」って言う声聞こえたのは、気のせいかしら。」
N「その自然感中々のもんだな。その調子でボイトレ山の奥深さ楽しめよ。
俺の脳みそに隠してある頂上に立てる🏳こっそりパクっても俺は知らん。もってけ泥棒!俺が熟睡して朝起きたら、ニヤニヤしながらヨーデル奏でて、こだま遊びしてんじゃねーぞ。
そろそろ熱いコーヒーを飲み終わったら、明日に備えておやすみ~」