ボイトレ山8合目キャンプ第2話

ボイトレ山8合目キャンプ第2話

 

 さて今日は、いよいよ8合目だ。

 

 Bincoのザックに入れてきた、安定ボイスのロゴマークをとりあえず出してごらん。

 先ずその使い方を易しく説明するから、登りながら疑問点を解消して行こうかな。

 それじゃ8合目出発。

 

N「ロゴマークの左右の円は、自分の左右の肺を水平にカットした断面図だと思ってね。

この2つの円は、息を吸えば膨張し、息を吐けば収縮する。そして、息を吸う時は、肺の後方にある背骨が障害物となって胸側が開くとともに、背中側が閉じる人間特有の前後差運動が生じる。

 

例えば「やすめ」で足先を開き、「気をつけ」で足先を閉じる動作と同じだよね。

発声はこの2つの肺の動作が原点だから、この2ヶセットを無視するとボイトレ登山道を踏み外すことになるよ」

 

B「この2つの円は、薄っぺらくてよくて、あくびの深呼吸で胸が反り、ため息でその反りがゆるむのよね。

2つの円で同時に呼吸するのって、むずいわね。いままでは合体させて1つの円で呼吸してたわね」

 

N 「鼻の穴・眼球・耳・声帯・肺・肩甲骨・腕・尻・脚・足・・・等全て、肺の動きに連動していて、2ヶのセットから成っている。

これらを繋げているのが、背骨のすぐ後ろに平行に付着している左右2本の筋。

背骨に手を当てれば、背骨に沿うように走っているのが分かるよね。

この2本の筋は、肺に連動して動作する。8合目以上では、使いこなして欲しいパーツだよ。」

 

B「今まで背骨でやってた代わりに、この2本の筋でやるのね。

だから2つにこだわらなきゃいけないのね。なるほどね!」

 

N「声帯では2つの円は密着していて、接触点の前後で呼吸内系(前側)・呼吸外系(後ろ側)を分けている。

内系→外系へ息が出る時、声が生まれる。

この密着度の調整は肺呼吸に依存するよね。

この声帯の2つの円の操作は、肺→腹部→声帯の順番に回り道で行う事で、発声はとても安定するよ」

 

B「腹式呼吸ってそう言う事なのね。当然2つの円は腹部でも密着してるのよね。この腹部密着円を息で動かしてやればいいのね」

 

N「腹式操作のコツは、左右2つの「肩甲骨」の代わりに、左右2つのお尻の出っ張りを意識すると、呼吸操作がやり易いと思うよ。

お尻も呼吸操作に引き込んでやる意識だね。おしりにただ飯食わせるんじゃないぞ」

 

B「私、今までお尻を甘やかしていたわ。布団たたきでお仕置きだわね。

2つのお尻の密着部は肛門ね。だから「おなら」と「発声」は同じ操作って訳ね。

 

N「順調に理解が深まってるね。快調に8合目登山楽しんでるね。登山の安全確保の鉄則は3点確保(2本の脚にプラスもう1点どこかで支える)が常識だよね。

ボイトレ山では、2つの肺と、その2つに密着されたスキマの3点確保を忘れなければ、事故無く、順調に高度を稼ぐことが出来ると思うよ」

 

B「3点確保って、杖を突いて歩いているお年寄りのイメージかな?なるほど転びにくいわね。

2本の脚が2つの肺で、一本の杖が背骨(2つの肺の接点)って事ね」

 

N「声を安定させる基本だから杖(背骨)は安物は避けた方がいいぞ。

背骨・骨盤・脚・・・等は当然一体化して使うから、普段から鍛えておいた方がいいよね。

俺は脱力スクワットをルーティーンにしてるから、いつでもボイトレ登山に挑める体力を維持してるよ」

 

B「私も年の割にはそこそこね。反射神経もNoriが落としそうになったマスクとっさに受け止めたから心配ないでしょ」

 

N「その乗りなら8合目突破は心配ないな。ほらほら、雷鳥ファミリーが俺たちを案内するようにこちらに振り向いてるぞ。カエルのようなゲロゲロ声だけど、りっぱな安定ボイスだね」