ボイトレ山9合目キャンプ第3話

ボイトレ山9合目キャンプ第3

 

 「ボイトレ山9合目キャンプ」の第1で登場した「ブロッケンの妖怪」をじっくり観察すると、実像と虚像がハーモニーを奏でる自然現象(光の波動)が見事な残像を描いている。

 実像が創り出した虚像が妖怪となって現れる様は、ボイトレの様子に近いフィーリングと言えるかもね。更に深読みすると、霊界に迷い込んだ迷子の少女にも似ている。そう言う事で、今回は「実像・虚像」両面の助けを借りながら登頂してみようね。

 

N「前回は球面呼吸を球体でトレーニングしたよね。今回は腹式呼吸の「背骨より前側エリア」を実像半球体とみなし、「背骨より後ろのバック空間」を虚像半空間と考えてみよう。即ち、実像と虚像境界線が背骨によって前後に分けられている球体を使って登頂の手助けをして貰う事にしよう」

 

B「背骨より後ろは幻の半球体って訳ね。そう言えば背骨の後ろ側って何も無いわよね。今まで、そんな事考えた事無かったわ」

 

N「だろうね。でも9合目急斜面では後ろが絶壁で何もないのは当たり前だからね。その何もない空間もトレーニングに取り込むことで素晴らしい解放感が湧き出して来るからね」

 

B「腹部を球体と見なせばいいのね。背骨より前側の半球体が実像部になるのよね。息を吸った時は、虚像部から実像部へ息が移動するのよね。息を吐いた時は、実像部から虚像部へ息が移動するのよね」

 

N「そこまで分かってきたら、息の流れを整理しておこう。球体の中での息の流れは下部で吐かれ、上部で吸い込まれるイメージを練習に取り込んで置くと、球体の縦の円周上で一方通行の息の流れが出来上がるよね。即ち、渦流が出来上がるので9合目の登頂はかなり楽になるかもね」

 

B「腹式呼吸の渦巻って、そう言う事なのね。境界線の背骨は息の流れを通しにくいから、背骨と円周との接触部の隙間から、息が漏れ出るとかんがえていいのかしら?」

 

N「その通り!9合目ではその息もれが、こなせないと遭難事故の危険を招くことになるよ。漏れた息により虚像部で声の響きを出せるようになると、登頂はさらに面白くなってくるぞ」

 

B「実像部と虚像部の境目が声の急所なのね。脱力しながら声のキーを操作するのは、まだ見えてこないわ」

 

N「高い音のキー調整は、息の吸い込みにより実像部は膨張し、虚像部は収縮する事を考えて練習すると切っ掛けがつかめるかもね。9合目の息の吸い込みは平地と比べると、かなり強力だから、そのつもりでの練習が必要となるよ。虚像部に繋がる筋肉は収縮限界を意識して強い圧縮感を感じてみよう。Bincoには、そのあたりが少し弱いかもね」

 

B「とりあえず、お尻の割れ目の締め付けは意識してるのよ。脱力しようとすると中々上手く出来ないのよね。9合目登頂中に完成させたいわね」

 

N「ブロッケンの妖怪に、もし会えたらしっかり教えを請うんだぞ。あの妖怪を閉じ込めようとすると、微々たるスキマでも抜け出ちゃうから、そのつもりでね。妖怪閉じ込め遊びのお相手になってもらったら上達は必至だぞ。その内慣れてきたら霊界への出入りが顔パスでOKになるかもね