ボイトレ山9合目キャンプ第6話

ボイトレ山9合目キャンプ第6

 

 9合目中間地点に差し掛かったみたいだから、ビバークして夜の幻想に溶け込んで見よう。

 ビバークがてら、笑わせて考えさせる「イグノーベル賞」の話題でゆっくり流れる時間とたわむれてみようか。

 イグノーベル賞は裏ノーベル賞とも呼ばれ、理数系専門家がまじめに競って脳みそをくすぐってくれるのだけれど、その中に「液体猫」と呼ばれるテーマのイグノーベル賞受賞作品がある。猫は容器に合わせて形を変えることができる。つまり猫は液体であるということなのだ。

 眠りに落ちるまでのひと時を思いっきり脳みそを緩めて過ごしてみよう。

 

N「ボイトレ山9合目でのビバークだから脳みそ以外は中々動きが取れないだろ。こんなチャンスに液体猫の話で、思いっきり脳みそをリラックスさせておこうな」

 

B「冷気による不安感、人里から隔離された孤独感、薄い空気による焦燥感等、ビバークによる恐怖感はのんびり眠りに落ち込めないわね」

 

N「そういう感情は、眠りの中へ入り込もうとする願望を打ち砕くよね。人間の生存本能による宿命だから仕方ないかな。こんな時、液体猫と戯れてみるのが、いいチャンスかもしれないね」

 

B「私、声を出す時、脱力する意識を持ってるつもりだけど時々無意識で力んじゃうのよね。液体猫ならそんな心配は起こりそうにないわね。でも猫のようには身体が付いていけそうもないわ」

 

N「そこは考え違いしているぞ。猫の容姿を真似る必要は全然ない。真似たいのは猫の気持ちだけでいい。Bincoの気持ちの在り方をそっくり猫気分になり切って欲しい。心の領域の部屋で液体猫を飼ってやれば、どうかな?」

 

B「そうか。猫の気分になるだけだったら、ひょっとしたらなり切れるかもね」

 

N「例えば猫が細い穴に身体を入れる時は、水を注ぐようにして中に入る事を考えればいい。この意識の時、身体は絶対に脱力化している筈だよね。ボイトレ中にこの意識を忘れなければ脱力もスムースに行くんじゃないか?脱力はボイトレの大前提のはずだからね」

 

B「なるほど液体猫ってそういう事なのね。川の自然流にも似て自然その物ね。水も力むと氷になっちゃうのよね。筋肉が力んじゃいけない事、分かってきたかもね」

 

N「もう1つ例えてみると、猫が小さな丸いガラス瓶に収まる時も、水が注がれて流れ込んで行く様相にそっくりだよね

ボイトレ中は必ず液体猫を想像しながら練習に励めば、心の柔軟化は9合目にふさわしいレベルに進化するかもね」

 

B「そうすると腹部の大部分を占めている筋肉を水に変えてもいい訳よね。

腹式呼吸ではこの水たまりを呼吸操作してやればいい訳ね」

 

N「一歩前進したね。「ボイトレは脳トレなり」と言う意味も更に深く踏み込んで来たかもね。そろそろ脳みそもリラックスして来たかな?

 

脱力睡眠に揺られてお休み~」