ボイトレ山9合目キャンプ第8話
9合目キャンプの空気に慣れてきたようだから、ザイルにぶら下がって空中に飛び出してみよう。
地上の安定感を忘れて山頂近辺の気体と同化してみると、薄い大気と身心がじゃれあっていることに気がついて、自分を見直すきっかけになることに加えて、ボイトレの脱力感を改めて認識するかもしれないね。
9合目のボイトレでは今までの筋肉を使っての話し(肉体感)に代わって、筋肉を使わない話し(空気感)に重点を置くから、この空気感の感度を高めながら登頂を楽しもう。
N「ここでの空気感は、気道内ではなく体内気道外(声帯外)から大気に繋がる大気圏をイメージしているから、そのつもりでね。
極端に言えば、Bincoの心身が地球の大気によって、吸い取られたり吐かれたりするような風の力で声遊びに引き込まれていく様子をイメージして欲しいね」
B「これ迄とはちょっと雰囲気が違うわね。
自分の肉体は無視した方が好ましいのかな。肉体から離れるって事は、今までよりは楽になるのかな?」
N「ちょっと勘違いしているようだから、もう少し意識を整理しようね。
これからは、大気が気圧の急激な変化を伴って心身をいじめに来るから今まで以上に肉体の締め付けはきつくなるぞ。大気のパワーの大きさを認識できれば一歩前進だからね」
B「大気が呼吸する息の強さを感じればいいのね。今まで経験しないパワーに初対面するのが楽しみだわ。
私、初対面の人に話しかけられるの嫌いじゃないわよ」
N「よしよし!その調子なら大気妖怪とじゃれあって、親友の1人にしてしまいな。
自分のパワーに酔いしれている孫悟空が、お釈迦様の手の中にいる事に気が付いたように、大気の中の自分の小ささを、見つめなおせるといいかもね。
9合目ともなると自分の肉体と大気との接点イメージを感じて欲しいね。大気がBincoにちょっかいをかけてくる感じかな!」
B「それはすご~く面白そうね。大気がどんな顔してハグしてくるのか楽しみだわね。お返しは、やっぱり優しい息づかいで心を伝えるのが礼儀よね」
N「9合目の村人の雰囲気が出て来たな。
自分の息づかいと大気妖怪との息づかいが合って来そうなムードが漂ってきたね。
山麓のふもとでは味わえなかった空気の味わいが心身で感じてきたら、素晴らしいぞ!ちなみに、パラグライダーで空に浮かぶ感覚をイメージすると、更に理解が深まるかもね。
リキム動作が役に立たないことが、想像できるのでは?」
B「私の歳でも空に浮かべそうな気がしてきたわ。体力は必要なさそうね。
風とじゃれあうって事、イメージできそうね。
ボイトレ山9合目もう少し上へ登頂したくなって来たわ。」