ボイトレ山9合目キャンプ第10話
いよいよ9合目の絶景に差し掛かったようだから、ゆっくり休みを取りながら、ここ迄の登頂を振り返り、ボイトレ山をふもとから見つめ直してみようか。
9合目のまとめを兼ねて思い出してみよう。
N「無計画な入山はトラブル続きの危険な登頂が目に見えているから、ボイトレ山でも初めの一歩は入念にチェックしておこうね。
先ず手のひらで息遊びをしてみよう。5本の指の間の付け根側にあるスキマに唇を付けて息を吹き込んで見よう。息の強弱を調整すると必ずノイズのようなブルルン音が発生するよ。
この音が、のどの声帯で起きると、声の卵である原音が誕生する瞬間だ。発声は、このノイズ原音(声の卵)が舌・口腔内・唇・・・等にもまれながら一人前の声に成長し、唇から出る仕組みになっているんだ。」
B「そうすると頭部内の全てが、声の卵を1人前の声に育てる役目を担っている訳ね。」
N「そう。ここで注意を要するのは、心肺機能で作られた息の全てを声帯側(頭部側)に吹き込んで直接ノイズ原音を作ってしまうと、強い風圧のために歪んだ発声になってしまう事なんだ。
この強すぎる風圧を緩和する手段として、心肺機能で作られた息の全ては、一旦、横隔膜を経由して声帯の影武者(腹部筋肉)に向けるんだ。即ち腹式呼吸が絶対必要となる訳だね。」
B「指のスキマでは息を吸っても音は出ないわね。発声は息を吐く時だけだと思っていいのね。」
N「よく気が付いたね。発声は吐く息でのみ作られるんだ。
しかし実際の発声では息を吸い込む複雑な体感が絡んでくる。吐く息で声を作り上げるのが基本操作だから、吐く息を極力優先して使う事が重要だね。又、手指の間を抜けて行く隙間風の音は、腹部筋肉を抜けて肛門から出て行く「おなら」と思っても差し支えはない。
その方がボイトレの練習効果をアップしてくれるから試してみるといいぞ!」
B「そうすると息の出口は、(上部は口、下部は肛門)と限定してもいいのよね。発声中は肛門側だけを攻めていい訳ね。その時、実際の息は頭部内の口から出ている訳ね。」
N「口と肛門の位置は、身体上対象になっていないが、脳内思考では対象と考えて操作して欲しい。
もっと言えば、口の位置を真上に持ってくる意識で天を仰ぐのは、とても良いボイトレ操作となる。狼が遠吠えする姿をイメージするといい。このボイトレ操作は立って行うと、より効果的になるぞ。」
B「なるほどね。身体の中心(背骨)軸に上下の出口をセット出来るわね。しかも息の通りが良くなりそうね。」
N「この背骨軸にこだわったボイトレに、息の吸い込みを巧みに参加させると、9合目らしいハイトーンなボイトレに繋がるからね。
特に肛門を操作する殿筋(でんきん)を更に深く脱力させて参加させて欲しいな。
もっと言うなら肛門括約筋のフル脱力をお勧めするぞ。」
B「心肺機能は腹式ボイトレをやっている限り、自然にアップしそうね。そうすると後は腹式ボイスの完成度を高めながら、スキマを絞っていくボイトレが残って居そうね。」
N「気が付いて来たようだね。スキマを細くするボイトレは、かなり難度が高いぞ。
ボイトレは「吐き出し能力・吸い込み能力」の向上あるのみだけど、急激にやると、声帯のダメージに繋がってしまうから徐々に取り組む事をお勧めするよ。
9合目の環境を決して、なめてはいけない!Bincoの場合吐く息の操作をもう一工夫してから、吸い込みを締めに使うボイトレを追求して欲しいね」
B「腹式呼吸で操作する吐く息に、まだまだ伸ばせる糊しろが有ると言う訳ね。その裏に吸う息が隠れて待っていると考えて良いのかしら?」
N「自分の糊しろが自覚出来れば大したもんだ。
9合目ボイトレ山では、「天・地・人」から成る「息の妖怪」と遊べるようになると、脱力発声も容易に染み込んでくるかもね。
当然、腹式呼吸は「地」に相当するよね。「天」は頭部に相当し、「人」は心肺機能の発生源である胸部に相当するんだ。
この辺りまで来ると、声の響きは、より自然に溶け込んで9合目らしさを漂わせているはずだよ。
この辺りで9合目キャンプを撤収して、一旦下山してみよう。たくましくなったBincoボイスで、更なる魅惑のボイスと鬼ごっこするんだぞ!
年齢は何の障害にもならないからな。春ピリカの遊ぶケルンを目指せ!Binco鳥!」